はじめまして、開発・制作チームの吉澤です。
私は2019年2月初旬、ネパールを知らない日本の人たちにVRで現地の様子を伝えるため撮影に訪れました。

ネパールと言えば知らない人はいない標高8000メートル級、ヒマラヤ山脈の大自然がある国です。多くのメディアなどにも取り上げられ、日本だけでなく世界各国から多くの登山客や旅行客が絶えない、一目を置かれる観光地です。
私もそのヒマラヤの山々の絶景を写した写真を目にしたことがあり、ぜひ一度はその景色を拝んでみたいと思っていました。
しかし、カトマンズに降り立って最初に目に飛び込んできたのは、想像もしない光景でした。
話に聞く美しい大自然は、東南アジア特有のモータリゼーションど真ん中の光景に置き換わり、街はゴミが散乱し、川の水は濁り、PM2.5の影響で大気汚染も深刻で目に映る景色は真っ茶色。
道行く子どもや大人も皆マスクを着けていました。マスクなしで一日を過ごしてみると、鼻や耳の中は真っ黒になっているほどでした。




今回、首都カトマンズだけでなく、ネパール有数の観光地であるポカラやヒマラヤ山脈のふもとの村カブレも訪れました。
そこはまだ、皆のイメージする美しいネパールが広がっていましたが、もうその足元まで環境汚染は迫ってきていました。
上空6000メートルから見た“神が住まう山“ヒマラヤ山脈は、言葉を失うほどの絶景で、その異名の通り神々しくさえありました。その存在感は圧倒的で唯一無二であると誰もが納得し、ネパール人の誇りであることに疑いの余地などあるわけがありません。
しかし、近代化の早すぎるスピードがその美しさに大きな染みを作ってしまっている。


今回、“大自然の美しいネパール“を撮影するつもりだった私には、この旅で目にしたもの、感じたものは大きな衝撃でした。しかし、それが本当のネパール。「いま」のネパールを見ることができたのだ、と思います。
一国の魅力とは、広く知れ渡り強く輝くようになればなるほど、その陰は深々と落ちていく表裏一体であることを感じる機会でした。