本日、カンボジアにあるキリロム工科大学の大学生77名にSkypeを通じてSTYLYを用いたVR制作の講義をしました。
キリロム工科大学とは
キリロム工科大学(KIT)は在学中の学費・生活費が免除されるというユニークな制度で、学生たちは競争力の激しい試験をくぐり抜けた精鋭たちです。日本企業がスポンサーになりその運営を支えているようです。

参加学生
ほとんどがソフトウェア・エンジニアリングを専攻する学生たちでした。全体の40%がUnityを使ったことがあったようです。ちなみに「男子学生:女性学生=4:1」でした。
カンボジアと聞くとまだまだ色々と遅れているのかなと思いきや、さすが優秀な理系大学とあって事前にVRを体験したことがある人は80%近かったです。しかしVRデバイスを持っている学生は約10%でした。

講義のスタイル
Skypeのビデオ通話、チャット、画面共有機能を利用して講義を行いました。講義は主に私が担当しましたが、Psychic VR Lab社スタッフ2名のサポートのもと、わからないことがあればSkypeのチャットに書き込んでもらい解決していく形式をとりました。事前に参加者77名のSkype IDを入手し、彼らをSkype上で5グループに分けてチャットサポートをしながら進行していきました。

質問がある場合はカメラに近づいてきてもらい受け答えしました。
言語は英語ですが、みな当たり前のように理解していました(私のジャパニーズ訛りの発音を理解できたようで一安心)。
VR制作はSTYLYを利用
今回、VR制作ツールにはPsychic VR Lab社が開発した「STYLY」を活用し、初めてVRを学ぶ学生たちにとっても敷居が低くなるように配慮しました。
「STYLY」を採用した背景には2つ理由がありました。一つは、VR制作の機能が簡素化されていて初心者が学習しやすいこと、もう一つはMacや通常のWindows PCでもVR制作ができることです。
工科大学ということでIT技術には慣れていてもUnityやUnreal Engineのような専門性の高いソフトウェアからVRを学ぶのは大変です。一方で、もちろん制約はありますがSTYLYは非常にシンプルなUIかつコードを書くことなくVRを制作、公開、共有できるので初めての3D系ソフトとしては最適だと思いました。
また、学生の持っているコンピュータも十人十色でしたので、STYLYがブラウザベースで動くのは魅力でした。Google ChromeさえあればPCの違いに左右されることなく講義ができます。
講義の感想
1時間の講義でしたが、Skype通話が切れてしまうといった問題もなくスムーズに講義ができました。一方で、STYLYの起動や読み込みに時間がかかったという意見が多かったのが改善点でした。ブラウザベースで操作するには先進国並みのネット環境が必要だなと感じました。
講義内容に関しては、Unityをしっかり触っている学生は少し物足りなさを感じたようですが、ほとんどの学生が「初心者にとって分かりやすかった」とSTYLYのシンプルな操作性に満足をしていました。

最後はみな手を振って感謝を示してくれました。Skypeですと全員の顔色みたり、声を聞いたり、直接アドバイスすることはできませんが十分に心は伝わるなと感じました。
この5年で世界中でVRを開発できるエンジニアの数が不足するでしょうから、ここで学んだことをきっかけに技術を磨き、その中で日本にきてくれる人が一人でもいたらよいですね。